top of page

金属アレルギーの症状が首だけに出るのはなぜ?原因と対処法を解説

  • 執筆者の写真: みらいクリニック大阪北浜 院長
    みらいクリニック大阪北浜 院長
  • 7月28日
  • 読了時間: 9分

金属アレルギーと診断される方は年々増加傾向にあることが知られています。


原因は明らかではありませんが、汗をかきやすい時期に長時間アクセサリーを身につけていると発症しやすく、男性と比べてアクセサリーを身につける頻度の多い女性の方が症状が出やすいといわれています。


症状としては、見た目に影響を及ぼす皮膚の赤みや湿疹だけでなく、かゆみが強く出ることで眠れなくなることがあるため、日常生活に大きな影響が出ます。


また、歯科治療に用いられる金属素材によるアレルギー症状も問題となっており、その場合は特に金属が直接的に触れていない皮膚にも症状が出るため、金属アレルギーだと気づかれにくいこともあります。


皮膚の湿疹がずっと治らないな……と思っていたら、実は詰め物などの口腔内金属による金属アレルギーだったというケースもあります。


金属アレルギーでお悩みの方は、大阪市中央区のみらいクリニック大阪北浜にご相談ください。



金属アレルギー 症状 首だけ


そもそも金属アレルギーとは


アレルギーとは免疫の一種であり、我々の体が外敵や異物から身を守るための重要な手段です。


ウイルスや細菌が一度体内に侵入すると、私たちの体はそれを覚えていて、次に侵入した時にはより早く強力に排除しようとします。


これを免疫記憶と呼び、その反応が本来反応すべきでない食べ物・花粉・金属などに対して過剰に出てしまったものをアレルギーと呼んでいます。


一般に金属アレルギーと呼ばれるものは、直接触れたところに症状が出る接触性皮膚炎と、金属が体内に取り込まれたことにより全身に症状が出る全身性金属皮膚炎に分類されます。


接触性皮膚炎は、ピアスやネックレスなどの体の表面に触れた金属が汗などの体液にわずかに溶け出し、それを体が異物と認識することで起こります。

基本的には金属が触れていた部位のみ、赤みやかぶれ・痒みといった症状が出ます。


全身性金属皮膚炎は、義歯やマウスピースなどに含まれる金属がわずかに溶け出したものを摂取することによって起こります。


この場合、口腔内にも症状が出ますが、食べ物と同様に消化管から吸収されるため、口腔内だけでなく全身にも症状が出ることになります。


どちらも、食べ物などのアレルギーと同様に個人の体質による影響が大きいため、自分がどの金属に対してアレルギーを持っているのかをパッチテストなどを受けた上で正しく把握することが重要です。




金属アレルギーによって首に起こる症状


皮膚は外側から順に表皮・真皮・皮下組織の構造でできています。


金属アレルギーによって起きる症状は、大きく分類すると皮膚炎(皮膚における炎症)と呼ばれるものであり、主に表皮・真皮に変化が起こっています。金属が汗などに溶けて金属イオンとなり、皮膚のバリア機能が落ちているところで表皮から真皮へ浸透します。


侵入してきたものがアレルゲン(抗原)として認識されると、T細胞などの免疫細胞が働き抗体を産生します。肥満細胞に付着した抗体がアレルゲンと結合すると、肥満細胞からヒスタミンが放出されます。


ヒスタミンは真皮に存在する毛細血管に働きかけ、毛細血管の拡張・血管透過性の亢進を引き起こします。


毛細血管が拡張することで該当部位の血流量が増加し、赤み(発赤)が出現し、部分的に熱を持った状態(熱感)になります。


また、血管透過性が亢進することで、血管の中から水分や血球が漏出し患部が膨らんできます(腫脹)。それらに伴って痛み(疼痛)も出現します。


この「熱感」「発赤」「腫脹」「疼痛」のことを炎症の4主徴と呼んでいます。



湿疹、かぶれ


湿疹とは皮膚炎の別称であり、盛り上がりを伴うものや赤みを伴うもの、カサカサしたりかゆみを伴うものなど、様々な状態を呈します。


一方でかぶれも皮膚炎の一種ですが、こちらは主に外的要因によって発生した皮膚炎を指すことが多く、金属アレルギーなどの接触性の皮膚炎のことを言います。



かゆみ


かゆみとはそもそも「引っ掻きたくなるような不快な感覚」と定義されますが、皮膚のかゆみは局所的な比較的軽度な皮膚炎の結果として起きていることが多く、重症化する前に身体の異常を知らせる役割を担っているとも考えられています。


実際にかゆみを感じてアレルギー症状に気づく人も多いのではないでしょうか。



赤み


赤みは前述した通り、炎症の4主徴の一つである「発赤」のことです。


炎症が起きている部分では血流が増えるため、赤みに伴って腫れ(アレルギー性皮膚炎による腫脹は蕁麻疹とも呼ばれます)も出現します。


見た目の観点から治療を希望される方も多くいます。原因物質を避けることが最も効果的であり、それが困難な場合は薬物療法などが考慮されることもあります。




金属アレルギーの症状が首だけに出る理由


大前提として、首はそもそも汗をかきやすい場所です。


金属アレルギーは肌に触れた金属が、汗などの水分にわずかに溶け出したことにより起こるものです。そのため、汗をかきにくい場所よりも汗をかきやすい場所に症状が出やすいことになります。


また、同じ理由により、首は汗疹(あせも)などの肌荒れ症状も出やすい場所であると言えます。


「金属アレルギーかもしれません」と受診される方の中には、首に出た肌荒れの症状を金属アレルギーであると思われている場合もあります。


一般的な肌荒れも、かゆみや赤みなどの症状を伴うため、金属アレルギーの症状とよく似ています。金属アレルギーでなくても、汗をかいた肌に物質が触れる状態が続くと、肌荒れを起こすリスクが高い状態です。


そのため、あせも等の肌荒れであったとしても「金属のネックレスをつけていたら肌あれを起こした」→「金属アレルギーだ」と判断される場合もあります。




金属アレルギーで首の症状を引き起こす原因


金属アレルギーによる皮膚炎を起こしやすい金属は、多いものから順にニッケル・コバルト・クロムであると言われています。


ニッケルと銅を混ぜた合金は白銅と呼ばれ、銀白色の光沢を持ち耐食性・耐熱性が高いため、多くの装飾品や硬貨(50円玉・100円玉など)に使われています。


また、銅・ニッケル・亜鉛の合金は洋銀とも呼ばれ、見た目は銀に似ているため、世界的にも銀の安価な代替品として使われてきた歴史があります。


このようにニッケルは身近なところに多く含まれていますが、日本では装飾品に関しても特に規制はないため(身につけるものに含まれるニッケルに関する規制が存在する国もあります)、金属アレルギーの原因となりやすい金属です。


また、コバルトはニッケルと似た性質を持っており、ニッケルにアレルギーのある人の半分はコバルトにもアレルギーがあると言われています。


コバルトは装飾品の合金に含まれるだけでなく、緑や青の顔料(絵の具)にも使われていることがあるため、注意が必要です。


クロムも合金に使用されていますが、革の製造過程でも使用されることがあります。革製品が触れたところに皮膚症状が出ることがある方は、クロムアレルギーの可能性もあります。




首周りの金属アレルギーの予防方法


首回りに皮膚症状が出る原因としては、汗・物質の接触・金属アレルギーがあります。そのため、まず第一に首回りに使用するアクセサリーはできる限り控えることが望まれます。


そのアクセサリーが金属でもプラスチックでも、皮膚炎の原因にはなりえます。そのため、首に触れるものを減らすことができるのであれば、可能な限り減らすことが重要です。



夏場は首回りのアクセサリーを避ける


少なくとも汗をかきやすい夏には身につけない方がいいでしょう。どうしてもアクセサリーをつけなければならない場合はステンレスの製品よりもチタンの製品がより安全とされています。


これは、チタンが酸化しやすく、金属イオンが溶け出しにくい性質によるものだからです。



ネックレス以外のアクセサリーも素材に気をつける


繰り返しになりますが、金属でなければ大丈夫というわけではありません。首につけるアクセサリーとしてはネックレスだけでなく、チョーカーやスカーフなどを身につける方もいらっしゃるかもしれません。


これらは布や革でできていることが多いため、仮に症状が出たとしても金属アレルギーによるものだと気づかれにくいです。


しかし、革製品の製造過程で使用されるクロムのように、一見金属が含まれていないものも、金属性の物質が含まれていることがあります。


どうしても身につけなければならない時以外は、外しておくほうが発症を予防できるでしょう。




金属アレルギーの症状が首に出たときの対処法


まず、全てのアレルギー症状に言えることですが、アレルギーの原因物質を排除することが最も重要です。金属アレルギーの場合は、アレルギーの出た部位につけているアクセサリーを外すようにしましょう。


そのときに汗をかいているのであれば、汗も洗い流しておくようにしましょう。金属成分が溶け出している可能性がありますし、そうでなくても汗そのものが肌への刺激になるためです。


水で洗い流すのが最も理想的ですが、それが難しい場合は汗拭きシートなどを活用してください。


汗拭き用のシートには、香料入りのものやアルコール成分が入っているものなど、様々なタイプのものがありますが、そこに含まれている成分で症状が悪化する可能性があるため、赤ちゃん用のウェットティッシュなど、できる限り低刺激なものがお勧めです。




金属アレルギーでお悩みの方は、大阪市中央区のみらいクリニック大阪北浜にご相談ください


すぐに症状が落ち着くようであれば、そのアクセサリーを使わずに様子をみることもできると思いますが、治らない場合やひどくなる場合、繰り返す場合は、必ず皮膚科や内科を受診して医師の判断を仰ぐようにしましょう。


その際、身につけていて症状が出たアクセサリーを医師に直接見てもらうとよいでしょう。医師もアクセサリーをみて全ての成分がわかるわけではありませんが、診断の参考になりますのでご協力いただけると非常に助かります。


金属アレルギーのお悩みがある方はみらいクリニック大阪北浜までご相談ください。オンライン診療・院内診療に対応しており、LINEからご予約・お問い合わせが可能です。




Comments


bottom of page