花粉症の日常的な対策方法とは?マスク・メガネなどすぐにできる対策を紹介
- みらいクリニック大阪北浜 院長
- 5月27日
- 読了時間: 10分
日本では年々花粉症の患者数が増加しています。現在2人に1人が花粉症と言われており、まさに国民病とされる病気です。花粉症の原因となる植物は約60種類にも及ぶため、自分がどの植物に対してアレルギーを持っているのか血液検査をしてみるのもおすすめです。
治療をしないまま放っておくことでより症状が悪化してしまったり、目の痒み(かゆみ)や鼻づまりなどの症状で日常生活に支障をきたすこともあります。花粉症でお悩みの方は大阪市中央区のみらいクリニック大阪北浜にご相談ください。

花粉はいつから飛び始める?
スギ花粉は2月下旬頃から5月にかけて飛散し3月頃がピークとなります。ヒノキ花粉はスギ花粉より少し遅く、3月下旬頃から6月にかけて飛散し4月頃がピークになると言われています。
1日の中では、早朝に山から飛散してきた花粉が昼頃には街中で多くなり午後に一旦落ち着きますが、夕方の気温低下による空気の対流で上空の花粉が落ちたり舞い上がったりするため再び多くなります。また雨の日や雨上がりも同様に花粉が落ちてきたり舞い上がりやすいため注意が必要です。
花粉症の症状
花粉などのアレルゲン(アレルギーの原因物質)が体内に侵入した時に対抗する物質として体内でつくられるものを抗体と呼びます。花粉症ではIgE抗体がつくられアレルゲンと結合することで、ヒスタミンやロイコトリエンなどの化学物質が大量に放出され、鼻水や鼻づまり、くしゃみ、目の痒みなどのアレルギー症状が出てしまいます。
お子さんでは中耳炎や副鼻腔炎を併発することも多いです。耳や頭を痛がったり気にする様子、あわせて発熱などの症状がないかも見てあげられると良いです。
花粉症の日常的な対策
食生活
腸は食べ物などと一緒に体内に侵入したウイルスや病原菌が体内に取り込まれるのを防ぐために、免疫機能に関わる細胞が身体全体の半分以上(60%〜70%)集まっています。腸内細菌には免疫の過剰反応を抑制しアレルギーの症状を軽減する働きもあるため、花粉症対策には腸内環境を整えることも重要となってきます。
花粉症と診断されている方に食生活で1点注意していただきたいのが、果物や生野菜を食べた時に口や喉などに痒みやイガイガ感、腫れなどが出現する口腔アレルギー症候群(OAS)です。花粉に含まれるアレルゲンと似たアレルゲンが、果物や野菜に含まれていることでアレルギー症状が起こってしまうのです。
最も多いのはカバノキ(ハンノキ)花粉症がある方がりんごやもも、さくらんぼを食べた時です。スギ花粉症やヒノキ花粉症の人はトマトを食べることで症状が出る可能性があります。アレルゲンは熱に弱いため加熱すると症状が起こりにくくなると言われていますが、心当たりのある方は摂取を控えて医師に相談することをおすすめします。
睡眠や運動
身体には自律神経という免疫力をうまく働かせるための機能が備わっていますが、睡眠不足や運動不足は自律神経が乱れる原因となります。自律神経が乱れることで、免疫力が低下しアレルギー反応が強くなり花粉症の症状が悪化してしまう可能性があります。
また、身体の免疫細胞は36.5度程度の体温で正常に働くと言われていますが、活動量が減り熱を産生する筋肉が減少すると低体温となり免疫細胞の働きも低下してしまいます。適度な運動をすることで身体を温めたり、夜間入眠しやすくなり生活リズムが整うことで自律神経のバランスも整います。運動は息切れしない程度のもので、花粉量の少ない早朝のウォーキングや日中は室内でできる軽い筋トレやストレッチなどもおすすめです。
外出時の服装
花粉の飛散が多くなる昼頃や夕方、雨の日や雨上がりの外出には注意しましょう。外出時はなるべく花粉が身体につかないように帽子やメガネ、マスクの他にも綿素材やナイロン、ポリエステル素材の表面がツルツルした衣服を着用して出かけることがおすすめです。
ウール素材は特に花粉が付着しやすいためなるべく避けた方が良いでしょう。小さなお子さんはウィンドブレーカーやカッパなどを着てお外遊びをすると着脱もしやすいです。
眼鏡やマスク
通常のマスクやメガネでも効果はありますが、花粉症用のものがさらにおすすめです。使用する際は隙間がないよう顔のサイズに合わせたマスクやメガネを使用しましょう。
転倒などでメガネが割れ、目が傷ついてしまう可能性もあるため、運動時は外したりと臨機応変に使える年齢になってから使用したり、小さなお子さんが使用する際は大人が見守るなどの安全対策も必要になってきます。
マスクやメガネに抵抗のある小さなお子さんは花粉ガードスプレーなどを活用したり、(肌トラブルが起こる可能性があるため3歳以上から使用可能とされているものも多いです。)ベビーカーを使用されている方はベビーカーカバーなどを活用して花粉を防ぐこともできます。使用する際はベビーカー内の温度が上がり熱中症になる可能性もあるため、こまめにお子さんの状態を確認したり水分補給を促してあげるようにしましょう。
住環境の整備
花粉の飛散量が多い日には洗濯物や布団の外干しはなるべく避けた方が良いですが、外干しする際は取り込む時にしっかりとはたいて花粉を室内に持ち込まないようにしましょう。 乾燥した環境では花粉が水分を取り込みにくく長時間空気中に浮遊しやすくなったり、地面の花粉が舞い上がりやすくなります。部屋の掃除は花粉を舞い上がらせないように水分を含んだ雑巾やモップで拭き掃除から始めると良いでしょう。
また、粘膜が乾燥するとアレルギー症状が悪化する可能性もあるため、空気清浄機の活用や加湿器などを使用し部屋を加湿することもおすすめです。
市販薬
現在ドラッグストアなどで花粉症の症状に合わせた多くの薬が扱われていますが、使用する際は薬の重複や眠気などの副作用に注意しましょう。また市販の点鼻スプレー薬で血管収縮剤が入っている場合、使いすぎにより鼻の粘膜が腫れてしまいかえって鼻づまりがひどくなることもあるため、効果を感じにくかったりどの薬を使用すればよいか悩まれる場合は医師や薬剤師にご相談ください。
花粉症対策はいつから始めるべき?
一度症状が出てしまうと粘膜が過敏になりさらに症状が悪化してしまったり、薬の効果が得られにくくなる可能性があります。花粉情報や飛散予測情報を確認し、花粉が飛散する前に受診して薬を飲み始めたり、外出時には帽子やマスク、メガネなどを着用し花粉の侵入を防ぎましょう。
また、子どもの花粉症は年々増加しており1〜2歳から症状が出ることもあるため、なるべく早い時期から花粉症対策を行うことが重要です。

花粉症のケア方法
冷やす
花粉症による目の痒みや充血、鼻づまりは冷やすことで血管が収縮し症状が軽減されるため、冷たいタオルやハンカチで包んだ保冷剤などで目や鼻を軽く冷やすのがおすすめです。氷を口に含むことで鼻づまりなどがスッキリすることもありますが、特にお子さんは誤嚥(食物や液体が誤って気管に入ってしまうこと)に注意が必要です。
花粉による鼻水はサラサラとした水っぽいものなのに対し、風邪などによる鼻水は粘り気があって固まりやすいため温めた方が楽な場合もあります。お子さんは花粉症と風邪を併発することも多いため、判断が難しい場合は受診をしましょう。
ツボを押す
根本的な治療からは少し離れてしまいますが、眉間の中央部分に位置する印堂(いんどう)、左右の小鼻横部分に位置する迎香(げいこう)などを痛気持ちいい程度に数秒押したり離したりしながらツボを押すことで、血行が良くなり鼻づまりに効くとも言われていますので試してみるのも良いですね。
うがい
うがいをすることで口や喉に吸い込んだ花粉を洗い流して喉のイガイガ感などを改善したり、喉の乾燥を防ぐことで粘膜機能の低下を防ぎ、炎症が起こるのを防ぐ効果があります。うがいが出来ないお子さんは水分補給をして喉の花粉を流すと良いでしょう。
鼻粘膜に付着した花粉を洗い流すのに鼻うがい(鼻洗浄)などもありますが、水道水は塩素などを含み粘膜を傷つける可能性があるため、必ず体液に近い生理食塩水や鼻うがい製品を使用しましょう。また鼻うがいのしすぎで粘膜に傷がつくこともあるため容量、用法をしっかりと守って使用し、なかなか症状が改善しない場合には医師にご相談ください。
洗顔
肌にはバリア機能という紫外線や大気中の汚れ、花粉などの外的刺激の侵入を防いだり、肌内部の水分蒸発を防ぐ機能が備わっていますが、乾燥や摩擦刺激が加わることによりバリア機能が低下しやすくなってしまいます。春先は空気が乾燥しやすくバリア機能も低下しやすいため、花粉などの外的刺激が侵入しやすくなったり、ティッシュで鼻をかんだり目を擦るなどの摩擦刺激を受けることで肌荒れが起こりやすくなります。
鼻をかむときは柔らかいティッシュを使用したり強く拭き取らないようにしましょう。洗顔をする時はなるべく摩擦を起こさないように泡で優しくクルクルするように洗い、水分を拭き取る時もそっと優しく拭き取るようにしましょう。また、熱いお湯で洗い流すと肌の乾燥を招くため、ぬるま湯で洗顔料が残らないようにしっかりと洗い流し、洗顔後は化粧水や乳液、保湿クリームなどを使用して肌の乾燥を防ぐことが重要です。
花粉症の治療方法
薬物療法
発症予防(初期治療)として花粉が飛散開始する1〜2週間くらい前から内服を開始することがおすすめです。抗ヒスタミン薬はヒスタミンの働きを抑えることで、くしゃみや鼻水を抑える効果があります。抗ロイコトリエン拮抗薬(ロイコトリエン受容体拮抗薬)はロイコトリエンの作用を阻害することで気管支を拡げる作用や粘膜の腫脹を抑える効果があり、鼻づまりや咳、息苦しさの改善に有効とされています。
他にも血管収縮点鼻薬や鼻噴霧用ステロイド薬、抗ヒスタミン点眼薬やステロイド点眼薬などを用いて症状の改善をはかっていきます。副作用が強く出る可能性もあるため、医師と相談しながら症状や体調にあったものを使用していきましょう。
アレルゲン免疫療法
原因となるアレルゲンを少しずつ投与し身体のアレルギー反応を弱める方法で、注射製剤(皮下免疫療法)と舌下免疫療法があり、現在日本で舌下錠はスギ花粉とダニに対するものが保険適応となっています。スギ花粉が飛んでいる時期はアレルゲンに対する身体の反応性が過敏になっているため、花粉が飛んでいない6月〜11月頃に治療を開始します。
数ヶ月でやめると効果が持続せず、治癒するには3〜5年かかりますが、5歳以上から使用でき、多くの人に効果があるため最近では舌下免疫療法が主流になってきています。使用方法などが気になる方は一度医師にご相談ください。
手術療法
手術療法は主に耳鼻咽喉科で行われます。鼻腔粘膜焼灼術(下甲介粘膜焼灼術)は、鼻の中の粘膜をレーザーで焼き鼻水や鼻づまりの症状を軽減させます。後鼻神経切断術は、内視鏡を鼻の中に挿入し、粘膜を焼きながら鼻水やくしゃみに関係する後鼻神経を切断します。粘膜下下鼻甲介骨切除術は、下鼻甲介の粘膜や骨を一部切除することで空気の通り道を広げ慢性的な鼻づまりを解消させます。
手術を行う先生や術式によって様々ですが、治療中安静を保てる小学校高学年からを適応にしていることが多いです。
花粉症でお悩みの方は、大阪市中央区のみらいクリニック大阪北浜にご相談ください
当院を受診された方には、これまでの病歴と併せて薬剤の使用歴をお聞きします。どの薬がよく効いたか、どの薬が合わなかったのか、可能な範囲で記録を残しておいていただければ当院に限らず受診時に役に立つでしょう。少しでも多くの情報をご提示いただくことで、ご自身に合った治療法や薬を一緒に探していき、辛い症状をはやく緩和するための手助けをできればと考えています。
みらいクリニック大阪北浜は初診からオンラインに対応しており、LINEで簡単にご予約ができますので、花粉症やその他の症状でお悩みの際はいつでもご相談ください。
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