花粉症を和らげる、即効性の高い方法を解説。市販薬の選び方も
- みらいクリニック大阪北浜 院長
- 5月27日
- 読了時間: 9分
日本での花粉症の有病率は1998年の調査で19.6%でしたが、2019年の調査では42.5%まで増えている結果が出ています。年齢別ですと10代〜50代では50%近い方が花粉症です。症状は目のかゆみ・鼻水やくしゃみなどがあります。花粉症のシーズンは地域によりますが、一番患者数の多いスギ花粉のアレルギーであれば10月〜5月ぐらいが花粉の飛散する時期でピークは3月頃です。
しかし、アレルギーの対象となる花粉が1種類だけでない場合も多く、1年中花粉症の症状に悩まれている方も珍しくありません。花粉症の症状でお悩みの方は大阪市中央区のみらいクリニック大阪北浜にご相談ください。

花粉症を和らげる、即効性の高い方法
まず一番大切なのは花粉の侵入を防ぐことです。花粉症の時期に外出する場合は必ずマスクを正しく着用するようにしましょう。鼻が出ていたり隙間があったりすると効果が半減してしまいます。顔にできるだけフィットする物を選び、マスクの外側(顔に触れていない側)は花粉が付着していますので、取り外す時もできるだけ耳近くのゴムを持って、マスク表面に触れないようにして取り外すとよいでしょう。
鼻や口だけでなく目からの侵入を防ぐことも重要です。最近では花粉症対策用のメガネも売っていますし、花粉症対策用のメガネでなくても、レンズが大きめのものを選んでおくと、小さいものと比べて花粉の侵入は防ぎやすくなります。
他にも目や鼻の周り(鼻の入り口にも少し)にうすくワセリンを塗っておくと、侵入する花粉が減少すると言われていますので試してみてください。ただし、ワセリンが花粉を吸着しているため、長時間そのままにしておくよりも時々拭い取って塗り直す方が良いでしょう。
次に外出からの帰宅後の対策です。花粉が飛散している時期に外出すると衣類や髪の毛などには必ず花粉が付着します。可能であればすぐに衣類は洗濯し、体に付着した花粉についてはシャワーを浴びて落とすようにしましょう。
家の中に花粉を持ち込んでしまうと、せっかく窓を閉めていても症状が出てしまうため、できる限り持ち込まないようにすることが肝要です。
花粉症を和らげる市販薬の選び方
症状に合わせて選ぶ
花粉症の薬は大きく分けて、点眼薬・点鼻薬・内服薬の3種類があります。花粉症用の内服薬には抗ヒスタミンという成分が配合されていることが多く、アレルギー症状を抑えてくれます。
抗ヒスタミン薬は第1世代・第2世代に分かれ、第1世代は即効性があるが副作用も強めです。第2世代は比較的効き目が穏やかではあるものの副作用が起こりにくいといった特徴があります。
初めて市販薬を買ってみる方で、何から始めようか悩んでいる場合は、まず第2世代の抗ヒスタミン薬から試してみることをお勧めします。その上で鼻詰まりがあるのであればステロイドの点鼻薬を、目の痒みが強いのであれば点眼薬を追加するのが良いでしょう。
また、内服薬には1日1回の服用でいいものと1日2回の服用が必要なものがあります。
ライフスタイルに合わせて選ぶ
ライフスタイルによっては朝ごはんを食べない方もいるかもしれません。そういった方にとっては1日2回の内服薬は合わないので、1日1回ですむものを夜に内服するのがいいかもしれません。
また、副作用の中で最も日常に影響を与えうるのが眠気です。市販のものの中にも車の運転に注意が必要となるものや、運転が禁止されているものもあります。車を運転しない方であれば問題ありませんが、日常的に車を運転する方は該当する薬剤は避けるようにしましょう。
体質に合わせて選ぶ
一番大切なのはお薬が合うか合わないかです。個人差がありますので、副作用の少ないと言われている薬で副作用が出る方もいれば、効果が弱いと言われる薬で十分な効果が得られる方もいます。
市販薬のメリットの一つは、比較的少量から購入できることですので、薬剤師さんと相談しながら順番に試してみることをお勧めします。早めに自分に合う薬を見つけて、毎日飲み忘れなくしっかり飲み続けることが症状を抑える大切なポイントです。
また自分に合う薬が見つかっていれば、次の花粉が飛び始める季節の少し前から、または症状がで始めた時点ですぐに飲み始めるようにするとなお理想的です。症状がひどくなってから飲み始めるよりも、同じ薬を飲んでいても症状が軽くなります。
花粉症を和らげる食べ物・飲み物
花粉症による症状はアレルギー性鼻炎やアレルギー性結膜炎と呼ばれ、人体が花粉に対して過剰反応した免疫による炎症反応の一種です。したがって花粉症の症状を和らげるための食べ物・飲み物としては、炎症反応を抑えるような成分を含む食材がお勧めです。
具体的にはオメガ6脂肪酸を避けてオメガ3脂肪酸を含む食材を選ぶとよいでしょう。例えば、青魚に含まれるEPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)はともにオメガ3脂肪酸に分類され、炎症反応を抑制する効果があることが知られています。
また、アレルギー症状を引き起こすヒスタミンの放出を抑制する働きがあると言われているのが、ビタミンCやポリフェノールです。ビタミンCを多く含む食材としてパプリカ・ブロッコリー・キウイ・レモンが知られていますが、注意点として一度にこれらの食材を大量に食べたとしてもビタミンCは吸収しきれません。少しずつこまめに摂取するように心がけましょう。
ポリフェノールを含む食材としてココアや甜茶などがあります。甜茶についてはあまり馴染みがないかもしれませんが、ココアは比較的身近な食材ですので試してみるのもよいでしょう。
いくつかの食材をご紹介しましたが、摂取による効果が科学的に証明されているものは少なく、ましてや劇的な効果が期待できるわけではありません。しかし、効果を感じる方も一定数いらっしゃるので、日常の食生活にプラスアルファとして少し試してみる、ぐらいの位置付けで考えるのが良いでしょう。
花粉症を悪化させやすい食べ物・飲み物
どの花粉に対するアレルギーなのかによって変わってはきますが、花粉のアレルゲンと構造が似ている成分を含むため、食べると症状が悪化する可能性(交差反応といいます)がある食材があります。
例えばスギ花粉とトマト、ブタクサ・イネ花粉とメロン・スイカ、ハンノキ・シラカンバ花粉とリンゴ・モモが似ていると言われています。そのため、スギ花粉に対してアレルギーのある花粉症患者では、生のトマトを食べたときに口腔アレルギー症候群(OAS)を含むアレルギー症状の悪化が起こることがあります。
これまで食べてきたけどなんともなかった、という人は過度に心配する必要はありませんが、そう言われればなんとなく心当たりがある、という人はご注意ください。繰り返し摂取することにより症状が悪化する可能性がありますので、摂取を控えて医師に相談することをお勧めします。
他にもアルコールには血管拡張作用があり、花粉症の症状である鼻詰まりを悪化させる可能性があることが知られていますので、摂取量は控えめにしておいた方がいいでしょう。また、飽和脂肪酸を多く含むもの、高カロリーなもの(特にジャンクフードなど)は炎症症状を悪化させることがあるため、花粉症を含むアレルギー疾患を持つ方にとっては避けた方がよい食品です。
甘いものやジャンクフードは摂取した時の満足度が高く、ストレス解消にも一役買っているため、全くゼロにする必要はありませんが、摂取量は控えめにしておきましょう。
花粉症を和らげる治療方法
薬物療法
花粉症の治療方法としては最も一般的な手段であり、一部の薬剤は医療機関を受診しなくてもOTCとしてドラッグストアなどで購入することができます。よく使われるのが抗ヒスタミン薬と呼ばれる薬であり、アレルギー症状を引き起こすヒスタミンが受容体に結合するのをブロックすることで症状を改善します。
しかし、副作用として眠気や、インペアード・パフォーマンスと呼ばれる集中力の低下を引き起こすことがあります。本人には自覚がないこともあり、他人から指摘されて初めて気づく方もいらっしゃいます。そういう時は内服を中止し、主治医に相談するか、薬局で購入した場合は薬剤師にご相談ください。
他には抗ロイコトリエン薬があります。ロイコトリエンは鼻の粘膜の血管を拡張させることで鼻粘膜を腫脹させ鼻詰まりを引き起こすのですが、そのロイコトリエンが受容体に結合するのをブロックすることで主に鼻詰まり症状を改善する薬です。
また、鼻詰まりにはステロイドの点鼻薬も効果的です。鼻粘膜の炎症を抑えることで鼻詰まりを改善するもので、非常に効果を実感しやすい薬の1つです。
アレルゲン免疫療法
アレルギー疾患の原因アレルゲンを投与していくことにより、アレルゲンに暴露された場合に引き起こされる関連症状を緩和する治療法です。花粉症に関しては、最も患者数の多いスギ花粉のアレルギーに対して適応が認められており、症状の緩和や薬剤使用量を減少させる効果があります。
治療期間は年単位でかかるものの、投与終了後も効果の持続が認められるため、毎年スギ花粉に悩まされている方にとっては効果的な治療法といえます。
手術療法
花粉症に対する手術療法としては鼻腔粘膜焼灼術・粘膜下下甲介骨切除術・後鼻神経切断術などがあります。鼻粘膜焼灼術はレーザーなどを用いて、鼻の粘膜を浅く焼くことで鼻水や鼻詰まりといった症状を軽減させる手術です。
術と名前はついていますが、切ったりしない分、他の手術療法と比べて心理的ハードルは低いかもしれません。粘膜下下甲介骨切除術は鼻の下甲介という場所にある骨を除去することで、鼻腔を広げ鼻詰まりを軽減する手術です。元々下甲介の肥大があるために鼻詰まりしやすかった方などには効果的な手術と言えます。
後鼻神経切断術は後鼻神経という鼻水の分泌に関与する神経を切断する手術です。粘膜下下甲介切除術と併せて行われることも多く、くしゃみ・鼻水の症状に非常に有効とされています。
花粉症でお悩みの方は、大阪市中央区のみらいクリニック大阪北浜にご相談ください
なんの治療に関しても必ず個人差はあり、その最たるものが薬の合う合わないだと思います。どの薬がよく効いたか、どの薬が合わなかったのか、こればかりは本人にしかわかりませんので可能な範囲で記録を残しておくことが大切です。何の薬を使ったか覚えていないと、1から合う薬を探していくことになってしまいます。
お薬手帳でも構いませんしメモ書きでも結構です。少しでも多くの情報をご提示いただけることが、辛い症状を緩和する何よりの手助けになります。
みらいクリニック大阪北浜は初診からオンラインに対応しており、LINEで簡単予約ができます。当院ではそういった情報を元に、ご自身に合う薬を一緒に探していくお手伝いができれば、と考えています。
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